内容紹介
売れないアラサータレント“おかえり"こと丘えりか。ひょんなきっかけで始めた「旅代理業」は依頼人や出会った人々を笑顔に変えていく。『楽園のカンヴァス』の著者が贈る感動の物語。(解説/吉田伸子)
集英社公式HPより
作家情報
原田マハ
1962 年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。ニューヨーク近代美術館勤務、フリーのキュレーターを経て、2005年『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、2006年作家デビュー。
(原田マハ公式ウェブサイトより抜粋)
読書感想
大好きな原田マハさんの本。
タイトルの「旅屋」に惹かれました。
崖っぷちタレント「おかえり」こと丘えりか。
彼女は売れないタレントで唯一のレギュラー旅番組も終わってしまうまさに崖っぷち。
でもすごく周りの人に恵まれている子。
おかえりを決して見捨てない事務所の社長、元「ちょびっ旅」ファミリー、依頼人や旅先で出会う人々・・。
旅屋代行という一見お気楽なおもしろイメージだったんですが、それぞれの依頼人の事情もあってけっこう深い。
今や売れっ子の元「ちょびっ旅」ファミリーが主人公のために集まってくれるあたり、ジーンとしました。
おかえりちゃん本当に周囲に愛されてる。
本人の人柄なんだろうなあと読み進めると感じます。
旅先から帰ってきた時に迎えてくれる人達の「おかえり」が温かくてなんかほっこり。
最初の旅先角館。
電車のおばちゃんたちのかしましさ(笑)。
イメージできて笑っちゃう。
雨でがっかりの主人公にお天気お姉さんと勘違いしたおばちゃん達好き勝手言いたい放題。
「まあそうがっかりしないで。ここまで来たんだから楽しみましょ」
「お姉さんいい旅をね。夕方までには晴らしといてね」
このかしましおばちゃん達の元気で明るい感じいいですね。
昔ベトナムで会った日本人のおばちゃん達もこんな感じだったなあ、と懐かしく思い出しました。
温泉宿の若旦那とのほんのりラブ風味もありますが、おかえりちゃんはあくまでひとりの旅人。
私の帰りを待つ人がいる。雪解けの日を待つ人がいる。その人のために旅を続ける、旅人なのだ。
次の旅先愛媛県内子町。
スポンサー会長と事務所社長の訳あり。
複雑な思いで旅立つも、事情を知るにつれてなんとか思いを届けようと奮闘します。
一方通行だったそれぞれの気持ちをつなげた「旅屋おかえり」。
そしておかえりに救われる人々。
空港に迎えに来た社長に泣きながら抱きつくおかえりちゃんかわいいです。
まるで本当の親子みたい。
「ただいま」に返ってきた社長の「おかえり」のひとことがとても優しく感じました。
読後はとっても気持ちよくて、なんだか旅に出たくなります。
コロナが落ち着いたら、春の角館と四国の内子町に行ってみたいな。
原田マハさんは何冊か読んでますがやっぱりおもしろい。
ご本人も旅好きな方のようなので、その思いが伝わってくる本です。
何度でも読み返したくなる一冊です。
田沢湖角館観光協会:https://tazawako-kakunodate.com/
内子町公式観光サイト:https://www.we-love-uchiko.jp/