レモンと旅日和

40代おひとりさまの、旅と本と和の暮らし

霧のむこうのふしぎな町(柏葉幸子)

霧のむこうのふしぎな町

(書影:版元ドットコム)

内容紹介

心躍る夏休み。6年生のリナは1人で旅に出た。

霧の谷の森を抜け、霧が晴れた後、赤やクリーム色の洋館が立ち並ぶ、きれいでどこか風変わりな町が現れた。

リナが出会った、めちゃくちゃ通りに住んでいる、へんてこりんな人々との交流が、みずみずしく描かれる。『千と千尋の神隠し』に影響を与えた、ファンタジー永遠の名作。

(引用元:版元ドットコム)

 

作家情報

 

柏葉 幸子  (カシワバ サチコ)

 『霧のむこうのふしぎな町』で、第15回講談社児童文学新人賞、日本児童文学者協会新人賞受賞。

『ミラクル・ファミリー』で第45回産経児童出版文化賞受賞、『つづきの図書館』で第59回小学館児童出版文化賞受賞。

その他、『地下室からのふしぎな旅』『天井うらのふしぎな友だち』『帰命寺横町の夏』等、作品多数。

(引用元:版元ドットコム)

 

読書感想

 

子供のころ初めて読んでからずっと、大切な私の愛読書。

児童文学ですが、大人になった今読んでも楽しめます。

いつのまにか、挿絵が杉田さんという方に変わってしまっていてがっかり。

私の中では柏葉さんの作品=竹川功三郎さんの挿絵だったので。

ちょっとぽっちゃりを気にしている主人公なはずなのに、杉田さんの女の子だと細身で話と合わない。

竹川さんの絵の世界の方がやっぱり柏葉作品にはよく合います。

柏葉・竹川コンビの三作品をまとめた本もあるので、未読の方は是非読んでみてほしい。他の作品も素敵なお話です。

 

風に飛ばされた傘を追いかけるうちににたどり着いた小さな町。

幕が上がるように霧が晴れて目の前に見えた外国のような可愛い家々。

子供ごころにも、想像するだけでワクワクしました。もちろん今も!

石畳の道に、6軒の家が向かい合う通称「めちゃくちゃ通り」に住む個性豊かな住人達。

おかしなことがあると言われる「ここはめちゃくちゃ通りよ」の言葉に納得です。

それだけ不思議なことが起こる町の日常に、主人公のリナも成長していきます。

口の悪い下宿先のピコットばあさんのいう「働かざる者食うべからず」。

相手が小学生だろうと甘えを許さないこの言葉。

親のお金じゃなく自分で稼ぐよう言うお祖母さんは一見意地悪なようで、当たり前のことをリナに教えてくれます。

はじめは泣きそうなリナも、どんどん強くたくましく成長していくこのお話、宮崎駿さんが「千と千尋の神隠し」の参考にしたというのも納得です。

私個人はエンタメ色の強い「千と千尋の神隠し」より「霧のむこうのふしぎな町」の方が好きですが。

本屋、せともの屋、おもちゃ屋と順々に働くリナ。

戸惑いながらも、住人たちの悩みを一緒に解決していくうちに周囲に溶け込んでいく。

そうして3週間が過ぎた頃、リナは突然ピコットばあさんから帰りの切符を渡され、帰るように言われてしまう。

寂しさをかみしめながら、ひとり最後にあけたみんなからのおみやげ。

そこに入っていたものにほっこり。

読みながら、笑顔になりました。

1975年の作品なのに古さを感じない、素敵な物語です。

ああ、また読みたくなってきた。

家にこもる時間が増えた今だからこそ、子供のころにときめいた本をもう一度手に取ってみてはいかがですか?