KADOKAWAより出版
内容紹介
元気な小1、かのこちゃんの活躍。
気高いアカトラの猫、マドレーヌ夫人の冒険。
誰もが通り過ぎた日々が輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心に染みわたる。
奇想天外×静かな感動=万城目ワールドの進化!
版元ドットコムより
作家情報
万城目 学
大阪府生まれ。京都大学法学部卒。在学中から執筆を始める。
大学卒業後、一般企業勤務を経て、2006年『鴨川ホルモー』で第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。
読書感想
表紙の可愛さに惹かれておもわず購入。
200ページちょっとと薄くて気軽に読める厚さも決め手になりました。
マドレーヌ夫人、和三盆、ミケランジェロ・・・と猫たちの名前が個性的。
猫を飼ったら「和三盆」って名前にしようとひそかに企んでいます。
猫たちの井戸端会議とかのこちゃんの日常の小さな世界が読んでいてほっこり。
大きな事件が起こるでもなく、でもかのこちゃんにとっては毎日が新しい発見で,わくわくキラキラしている様子が目に浮かびます。
かのこちゃんがお母さんの化粧道具をみて、ひとつひとつ「これは何?」「これは?」と聞くシーン。
「これ全部、使うの?毎日、大変だね」と驚くかのこちゃんの素直な視線に動揺するお母さん。
ここのやりとり好きです。お母さんの動揺がかわいい。
かのこちゃんの頬をなでて「いいなあ」とつぶやくお母さんの気持ち、わかる!と思わず共感しちゃいました。
学校の宿題で自分の名前の由来を聞くかのこちゃんに、お父さんは「鹿に言われたから」と答えます。
「久々に会ったとき『今度子供が生まれる、女の子なんだ』って話したら、この名前がいい、って。」
お父さんの言葉に半信半疑のかのこちゃんですが、人の言葉が話せる鹿がいてもおかしくないといわれてなぜか納得。
そのまま学校で発表しちゃいます。
もちろん鹿と話せるかのこちゃんのお父さんは一躍人気者(笑)。
好きだなあ、このお父さん。
ちゃんと子供と同じ目線で話せる大人って素敵だなと思います。
そして、マドレーヌと玄三郎は自分の言葉がわかるんだと確信するかのこちゃんがかわいい。
この作品映画化してほしいなあ。
できれば無名の役者さんで、ミニシアターで見たい。
マドレーヌ夫人の冒険、お友達との別れ、命の儚さ。
誰でも経験する日常のきらめきにほんの少しのファンタジーが入り混じる物語。
万城目さんの品のある文章がこの作品世界をより心地よくしてくれているような、そんな感じがします。
何度も読み返したくなるお気に入りの一冊です。